佐藤ファームの佐藤正一さんの本業は家業の贈答品としても有名な下仁田ネギを
栽培されている農家だ。
農場から車で20〜30分ほどの場所に日本三大奇景の一つとしても有名な妙義山が
あり、その周辺に佐藤さんの養蜂している日本ミツバチの巣箱を設置している。 |
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日本ミツバチはもともと日本列島に住んでいた野生のミツバチで春から秋まで雑
草や木など100種類以上の花の蜜を集めている。
蜂蜜の味は濃厚で、ほのかな花
の香りとまろやかで深みのある味だ。
採蜜量は少なく「幻の蜂蜜」といわれ、希少価値は高い。
佐藤さんが日本ミツバチの養蜂を始めたきっかけは前職の消防士時代に同僚から
教えてもらい、それ以来15年間、ずっと趣味として続けている。 |
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4月・5月の春の分蜂のシーズンには週に2回、9月・10月・11月の秋の採蜜のシー
ズンには週に1回、設置している巣箱を見て回る。
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ミツバチの巣は、一匹の女王蜂と複数の働き蜂から成り立ってるが、一つの巣に
新しい女王蜂が産れると、古い女王蜂が巣にいる働き蜂を連れて集団で引越しを
する。
これを分蜂という。
分蜂は4月・5月の1年の中でも一番花の蜜が多く、穏やかな暖かい日に行われる。
木の枝や屋根の下などにミツバチの群れができるので捕獲する。
タイミングを逃
すとその場から離れてしまうので、この時ばかりは目を離せない。 |
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巣箱に入った分蜂群は、夜明けとともに巣を飛び出て、夕方暗くなるまで働き、
子を増やし蜜を採るために一気に大群となる。 |
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9月・10月は蜘蛛が巣箱の出入り口に巣を作ってしまう。
全滅までは無いが日本ミツバチが減り蜜が入らなくなるの
でその都度取り除かなければいけない。
10月に入ると大スズメバチも加えてやってくる。
よくテレビなどで巣に入り込んだ大スズメバチの周りに日本ミツバチが取り囲み熱殺するシーンを見るが、この方
法は相手が1匹だけに限ってしまう。
10月は大スズメバチにも子供がたくさん産まれ、何十匹も巣箱にやってくる。
2〜3匹ほどの大スズメバチが3・4日居座られると日本ミツバチが全滅してしまうほど大敵なのだ。 |
また、クマがいる地域なので巣箱の設置場所には気を遣う。
もしクマがいる場所
に巣箱があれば巣箱を破壊され群れや蜂蜜すべてを失う。
地域に根差した消防士時代の経験からクマが来ない場所を探し、草木が茂る誰も
通らない山の中に巣箱設置する。
佐藤さんは毎週頻繁に見て回るので、まるで獣
道ような佐藤さんの踏みしめた細道ができてる。 |
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こうして手間をかけて育てた日本ミツバチの蜜をいよいよ採蜜する。
採蜜は垂れ蜜方法。
巣箱の木枠を外し越冬用の蜜を残し、残り数枚の巣房を1枚1枚、丁寧にナイフ
で切り出す。
ザルの下に濾過用の布、その下が一斗缶という採蜜用の道具の一番
上に日本ミツバチの巣を砕いて入れてる。
何時間か置いていると、蜜は垂れて濾過用の布に濾されてから一斗缶の中に溜ま
る。もちろん非加熱だ。 |
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花の蜜を採りに行くのはメスのミツバチで、1匹のミツバチが一生のうちに採る
蜜の量はティースプーン1杯ほどでとても貴重だ。 |
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山の中なので農薬など皆無、まさに野生そのもの。
扱える事は自然食品店ならで
はで冥利に尽きる。 |